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今、注目されているのが、LRT(ライト・レール・トレイン)、いわゆる路面電車である。欧米でLRTは見直されており、郊外は路面電車化や既存鉄道網に乗り入れたり、都心部では、地下鉄化やトランジットモール化されるなど、多彩な活用方法が採られている。富山・高岡・福井でも、路面電車を見直す動きがある。
金沢の場合では、都心部を地下鉄化、駅西を高架化、そして北陸鉄道の本線に乗り入れることが想定されている。しかし、採算面から考えると、そのままの構想実現はかなり難しいと言わざるを得ない。建設費は2,500億円を超える規模となるからだ。
新県庁オープンに合わせ、将来の新交通システムを睨んだ、社会実験が行われる。新県庁ー金沢駅ー武蔵ヶ辻ー香林坊ー片町ー野町間を結ぶ、シャトルバス「シティーライナー」が来年1月から3月に掛けて運行される。20-30分毎に運行されるバスであるが、どの程度の利用者があるか注目されるところである。
LRTの他にも、ガイドウェイバス構想もあるが、期待度はかなり低い。やはり本命は、LRTになるのだろうが、当面はシティライナーを継続事業として、実績を積むしかない。その為には、京成バスなどで導入されている2連結バスの導入も検討すべきだろう。
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将来、LRTを導入する場合に検討したいのが、幹線道路をそのまま利用する案。建設費も安く、建設期間も短いので、実現性や経済効率も高いと考えます。しかし車線を塞ぐ為、交通対策が必要になる。そこで例えば、武蔵ヶ辻ー片町ー野町間の歩道にアーケードを新設(香林坊ー片町間は付け替え)して、その屋上にLRTを走らせるというのはどうだろうか。
最近のLRTは軽量化が進んでいるので、さほど大規模な高架化でなくても大丈夫だと考えます。駅舎は既存のオフィスビルや商業ビルを活用する。この方法であれば歩行者用アーケードも確保できるので、建設費もはLRT導入目的だけでなく道路整備費や商業活性化関係の補助金から捻出できる可能性がある。LRTの導入は、都心部の活性化にも繋がると考えます。
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全国的に、地方都市の中心商業地は、著しい衰退を見せている。北陸でも、高岡・小松・長岡などの小規模都市は勿論、富山・福井・長野をはじめ新潟などの県都でも、中心商業地の吸引力が弱まっている。
そういった中、唯一金沢だけが、中心商業地としての形を維持できている。これは、石川県内にライバルとなる都市が無かったのと、高速道の整備により、富山・福井へ商圏が拡がり始めたからと考えられる。
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金沢の商圏は、およそ半径50キロ、商圏人口は120万人を超える。
この商圏力が、北陸唯一の有名ブランド店を多数呼び込むことに成功してきた。ここ2−3年で、金沢は全国でも指折りのブランド都市へと変貌している。グッチ・ルイヴィトン・アニエスベー・ティファニーをはじめ、ブランド直営店が軒を連ね始めており、香林坊界隈は「ブランド通り」と呼ばれ始めてきた。
今年春にリニューアルした香林坊大和は、ズラリとブランド店を並べるなど、金沢老舗の意地を見せている。それに先立ち、今年春にリニューアルした名鉄エムザも第2弾として来年春には、追加リニューアルされる。伊勢丹との連携を深め、有名ブランドの獲得に乗り出すと言う。
金沢のブランド都市化は、まだまだ続くようだ。
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しかし金沢の強みは、中小小売店が多い事だ。↑香林坊・→竪町・←片町・↓柿木畠などの通りでは、街並み景観の整備が進んでいる。
金沢では、ひとつの商店街が、街の活気を支えるのではなく、複数の商店街が固まることで、隣接都市には無い魅力的なゾーンを形成していると言える。平日の夕方でも、人通りが多い。新潟・富山では見られない光景だ。
金沢でも、大型郊外店が増えてきた。現在、売り場面積が1万5千平米を超える郊外大型店が、金沢周辺には9店舗・富山3店舗・高岡3店舗・小松2店舗・福井4店舗と、周辺都市に比べると圧倒的に多い。にも関わらず、金沢中心市街地は、活気を維持してきた事は、富山・福井など隣接県都にとっては驚異であろう。
今後も、武蔵ヶ辻の近江町周辺整備も控えるなど、金沢中心商業地整備は続きそうだ。
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まさしく北陸の商業中心地となりそうな勢いを感じる。仙台や福岡に代表されるブロック中枢管理都市の一人勝ち状態が、北陸でも起こりそうである。
しかし、そんな金沢の中心商業地も、順風満帆とは言えないようだ。これまで、日本海側最大の歓楽街を形成してきた片町であるが、県庁が駅西に移転していくため、来年以降、県庁関係者を中心として、どれだけのお客が減少するか、心配の声が挙がっている。
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実際、新県庁周辺では、居酒屋を始め飲食店が急増しており、片町はかなりのダメージを受けるのではないだろうか。
新県庁跡地利用も、まだ具体化しておらず、中心地の活性化に繋がる跡地利用は苦戦しそうである。県では、大型の図書館機能を持たせた公共施設を検討しているが、県財政の状況を考えると、実現までには時間が掛かりそうだ。NHKが県庁移転跡地への進出を検討しているが、県庁跡地を全て使うほどではなく、今後も県庁跡地問題は続くであろう。これまで、金沢城址にあった金沢大学が、郊外の角間地区へ移転して行くなど、中心商業地に人が集まりにくい環境を創ってきたため、県庁移転の影響が、どのような形で現れるか心配されるところである。
例えば県庁跡地に、市立金沢美術大学を発展させた、"金澤藝術大学"を整備してはどうだろうか。現在の美術学部の他に、音楽学部・舞台映像学部を設けて芸術の総合大学化を図るのです。金沢にはアンサンブル金沢があり音楽文化も育ってきてます。またEAT金沢といった映像イベントやデジタル映像・コンテンツ産業も多く、更に演劇や能舞台も盛んである。県庁跡地近くには"21世紀美術館もオープンします。これらを、金澤藝術大学と有機的に結んで、新しい文化を育成し、それを中心市街地の活性化につなげるのです。
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また、中心地の賑わい確保には、娯楽系の施設が少ないのも、不安材料のひとつだろう。今年、中心地で唯一残っていた映画館「金沢グランド劇場」が閉館した。戦後、香林坊の賑わいを作って来た香林坊映画街←。全盛期は、4館8スクリーンを有していたが、郊外のシネコンに押されて、勢いを失ってきた。現在は、アート系単館の109シネモンドが残るのみである。市では、今後も香林坊映画街をシネコンとして再生できないか検討されているようだが、実現までには資金面や運営面で課題が多そうだ。
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しかし、街の顔でもあった香林坊映画街を、長期に放置する訳にはいかない。
金沢の中心商業地の課題も多いと言えるだろう。
更に、金沢市内には、都市開発ゾーンが非常に多く、全てうまく進むかどうか疑問も多い。
JR金沢駅整備に伴い、駅東口の富山側には、広大な再開発用地が広がっている→。オフィスやホテル・商業施設を想定されているが、金沢市は既にオーバーストア状態であり、ホテル需要も頭打ちである。オフィスでは、県庁周辺を軸に駅西一体が、オフィス用地となっていることから、この広大な用地が更地のままということも考えられる。再開発の中心となるJR西日本・金沢市が、今後、どのような構想を打ち出してくるか注目したい。
またJR金沢駅西側の駅西暫定駐車場も、再開発ゾーンであり、現状は全くの手付かずの状態と言える。百貨店などの大型商業施設構想も言われたが、現在の長期景気低迷状態では、実現性に乏しいのが実態だ。こういった問題点の打破には、やはり政令市・北陸州都の実現が必要だという声は当然な流れなのかもしれない。
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市町村再編成すら終わっていないにも関わらず、金沢市を、「北陸州都」にしようという声は、日に日に高まってきている。
「県都政令市推進経済人会議」では、合併特例法内に、金沢市の60万都市化を議論される見込みで、もし実現するようであれば、富山・高岡は、危機的な状況へ追い込まれるでしょう。
富山県が、江戸時代の加賀藩植民地へ逆戻りする可能性が高まってきた。富山の先人達が、血を見る想いで、分県を勝ち取った歴史を考えると、金沢市が「北陸州都」になることは不安ではないだろうか。
何故なら、「何故、富山が分県しなければならなかったか?」を考えるば良くわかる。それは、道路整備を進めたかった金沢周辺と、治水整備を進めたかった富山周辺が対立し、富山の意見が全く旧石川県庁・県議会では、取り入れてもらえなかったという屈辱的な歴史があるからである。
こういった金沢的な考え方ややり方が、福井や富山を分県へと走らせたのです。今、「道州制」という名のもとに、再び「北陸はひとつ」という表現で統合が言われるようになってきましたが、果たして、金沢市が北陸州都に相応しいのか、良く考える必要があるでしょう。特に、金沢市が北陸州都になることは、富山県にとっては、デメリットが多く、メリットが全くないということを、富山の政財界は議論する必要があると感じます。
しかし、現実はあまりそういった危機感を、議論がなされていないのが実情です。富山の場合、議論をすることを苦手としているようだ。「影で思っていても、声を出さない」、それが、富山県人の美徳でもあったが、そろそろ、目覚めても良い時期に来ているように思われる。
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2002.12.8作成 (2003.3.30改訂)
尚、このページで使用している地図は、AtlasMateを使用しております。複製はご遠慮下さい。
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