日本版都市国家「越中都ーあい都ー」の実現を提案するホームページです。
<注意>このホームページは、あくまでプライベートサイトであり、いかなる団体・企業とも関係がございません。
当サイトで使用した画像及びデータの無断転載は禁止いたします。このサイトの主宰は、炭谷壮一(映像作家/街ニスト)です。


<道州制問題(州都問題)で、イニシアティブを握る>

 地方分権を合い言葉に、地方自治の見直し論が盛んになっている。その議論の軸は、道州制の導入である。いわゆる、都道府県再編成だ。全国を8〜13ブロック程度にエリア分けして、高度な自治権を与えようというもの。しかし、その議論の中心となっているのは、" エリア分け " と、とりわけ " 州都 " をどこにするかだ。州都になれば、エリアで中心的なポジションとなり、各州で唯一発展が見込める都市となるからである。その為、各地域の有力都市(雄都)では、州都誘致を目指す取組みが進んでいる。
 中国地方では、岡山市が大規模合併を行ない、人口70万人を超して2009年に政令指定都市へ移行した。ライバルの広島市に対抗して、中国州の州都を目指す為だ。また、九州地方の熊本市でも、2段階に分けて合併が進み、2010年には人口70万人を超え、2011年の九州新幹線開業時に間に合わせる形で、政令指定都市へ移行を果たした。熊本市も、ライバルの福岡市を押さえて、九州の州都を目指すという。この他にも、道州制時代に備え、都市力を高める為に静岡市・新潟市・浜松市・堺市が政令指定都市へと移行を果たした。

 道州制時代を迎え、富山県がどう対応するか。しっかりとした考えと、臨機応変に対応できる都市戦略が求められている。しかし、富山県の現状は「安易な道州制には、賛成しない」という立場でしか語られていない。富山県は、明治維新後、石川県支配からの独立を目指して分県した歴史的経緯がある。先人達が分県を選んだ理由や、その為に並々ならぬ努力をされたことを考えれば、再び都道府県合併(道州制)で、加賀藩に支配された江戸時代の越中国に戻ることは、安易に行うべきでないと考える。
 特に現状、都市間競争で劣勢に立たされている富山県にとっては、道州制へ移行するメリットがほとんど無いのが現実だ。だが、道州制問題を全く無視するわけにもいかない。

 現在、金沢市や新潟市では、経済界を中心に州都を目指す議論があるのに対して、富山の政財界では、州都獲りについては消極的な姿勢である。この州都問題でも、政令市実現と同様に"超保守的"な県民性が表れている。
 富山県は道州制問題に対して、もっと議論と戦略立案を行なうべきだ。特に、州都問題は妥協してはいけないと考える。何故なら、道州制導入で発展するのは、州都となる都市だけであるからだ。これは、現在の地方中枢管理都市の実状をみれば明らかである。
 富山県は、道州制を検討する条件として、北信越をひとつのエリアとした「北信越州」、もしくは新潟県を含めた「北陸州」とし、その州都が大越中市になれる場合のみ検討を行うべきであろう。また、都道府県再編問題では、富山県が単独の道を選んだ際には、かつて富山県への編入が検討された飛騨地域や、富山県と地理的に密接な関係がある能登地域や上越地域の富山県編入という選択肢も検討する余地があるのではないだろうか。
 
 いずれにせよ、道州制には問題が多すぎる。強いエリアを北陸の地につくるのであれば、前出の『北陸メガロポリス』構想を、富山県と石川県がお互いを尊重しつつ、対等な立場で推し進めれば良いと考える。
 一方で、富山県は単体でも強くなる施策を考えなければいけない。1960年代に実現寸前までいきながら、富山市の政財界から反対を受けて実現しなかった、富山市・高岡市を中心とした周辺都市を含めての大合併『政令指定都市』。この時の大きな判断ミスが、その後の富山県を衰退させていく原因となったのだが、教訓を活かせずに半世紀が流れてきた。いまこそ、富山県は生まれ変わらなければ、消滅都市となってします。
 
<基礎自治体の市町村から県へ移行させる>
 
 道州制への対抗策は何か。もともと大きな問題なのは、少子高齢化に伴う人口減少だ。人口が減れば、地方自治体は無駄だろうという安易な発想がもとになっている。しかし、小さな町村はなくなって良いものではない。道州制では、行政が小さな町村まで目が届かなくなる。「そこまで、行政は面倒みれないよ」となるのが、眼に見えている。これは、基礎自治体が弱体化してしまう問題なのだ。生活に密着するのが基礎自治体となる。これをどう維持するかが最も重要なのに、自治体を大きくする道州制の発想では、とても解決することができない。
 
 地方を維持させる。その解決策は、基礎自治体を市町村から県単位に移行することがもっとも有効だと考える。そして、その実現可能性を有しているのが、富山県だと考える。
 
<参考サイト>

○大阪維新の会
 ○大阪府知事 松井一郎
○減税日本

↑ 富山県の人口を大きく上回り、巨大化する政令指定都市「札幌市」の大通り公園。

 
<『富山県と県内全市町村との合併』(日本版「自由ハンザ都市(越中都)」構想〜道州制対策)>

 富山県では市町村合併が進み、市町村数が減ったことから、県の役割が問われようとしている。市町村合併が進み過ぎると、県の役割や権限が減少する為、特に大同合併による巨大都市の実現は、県として望まないとも言えるのだ。例えば、政令市を目指し大合併した新潟市の人口が、新潟県全体の1/3程度なのに対して、大越中市が実現した場合は、富山県全体の2/3を占めてしまう。当然、富山県の権益が減ることとなる。その為、富山県としては、富山市と高岡市による大同合併には消極的とならざるを得ない。平成の大合併時に、石川県が作成した合併パターン案には、金沢市を大都市にするような合併案が無かったのも、石川県が権益低下を恐れた為と言われている。しかし、地方の再生を合い言葉に、都道府県合併による道州制が叫ばれるようになり、県の維持も怪しくなり始めている。県が、いつまでも権限や権益に拘らず、新しい観点から地元の独自性を守る努力が必要なのである。

 そこで、道州制をも睨み、『富山県と県内全市町村が一体化(合併)』することも、有効な手段だと考える。道州制が導入されても、「越中はひとつ」 としてまとまる意義は大きい。基礎自治体を市町村から県に改めるのだ。行政革命ともいえる取り組みとなる。

 富山県と県内全市町村が合併して『越中都ーあい都ー』が実現できれば、富山県全体の存在感も増すであろう。そのインパクトも絶大といえる。
 「都・特別区」の設置に関して、「政令市」のような法的な規定はこれまでなかった。つまり、現行制度に置いては、東京都以外でも都・特別区の設置は可能であったのである。だが、政府は、新たに都制度の導入基準を設けた。これはハードルが高く設定され、大都市でしか実現できないものとなってしまった。府県と政令市の合併で、特別行政区が設置できるのは、行政区の人口が200万人以上とされたのだ。都・特別区の設置については、現在、大阪府と大阪市が合併する「大阪都構想」、愛知県と名古屋市が合併する「中京都構想」、新潟県と新潟市が合併する「新潟都(州)構想」、静岡県と静岡市が合併する「静岡都構想」などの動きがある。

 富山県と県内市町村が合併して、都へ移行する為には、新しい都制度への対応が必要となる。その解決策として、国が進める規制緩和の「特区」制度を活用することも検討したい。北海道で検討されている北海道庁と旧北海道開発庁との合体による北海(道)州への昇格案も、この「特区」を利用しようというもの。また、都制度に拘らずに、別名称で対応する事も検討できるだろう。たとえ県のままでも、実質的にあたらしい行政システムを構築できれば、独自性のある自治が可能となる。他所にない独自性こそが、魅力ある地域にできるからだ。
 
<新しい越中都(富山県)は、ドイツの都市州『ハンブルグ』や『ブレーメン』を目指す>
 
 特区の具体的なイメージは、富山県と全市町村が合併して、越中全体を『ひとつの都市(都市国家)』として捉えるという点だろう。これによって、強力な独自性をもった自治権を、特区で獲得する事を想定したい。その際に参考にしたいのが、欧州での「自由ハンザ都市」だ。中世時代に、バルト海の海上交易で発展した有力な貿易都市は、王国から特別な自治権を認められ、独自の政治体制を引く事で独特な都市を造り上げてきた。日本で言えば、戦国時代の堺のような独立性の高い都市だ。
 州制度を導入しているドイツでは、現代でも州に属さずに独自の自治権を守っている「自由ハンザ都市」がある。人口170万人のハンブルグと人口60万人のブレーメンだ。州と市を兼ね備えた都市であり、議会も「大都市圏協議会」と呼ばれ、州議会と市議会を兼ねている。更に、独立国家なみの立憲機能も有している。まさしく「都市国家」といえるだろう。もし富山県で『日本版の自由ハンザ都市』を実現できれば、独自性を維持しながら、全国区の都市となる事も夢ではない。現在、名古屋市・大阪市・横浜市では、人口200万人を超える大都市という事で、単独での「都市州」昇格を目指している。しかし、これは現在の政令指定都市からの移行に過ぎない。富山県の場合は、県と政令指定都市、そして県内全市町村が合併させるという前例のない取り組みを行なう事で価値を高め、単なる「都市州」だけではなく「都市国家」を目指したい。
 

 
<『バルト海のハンザ同盟』と『日本海の北前船交易』の類似都市>
 
 自由ハンザ都市は、バルト海の海上交易で発展した貿易都市だが、同じように日本海の海上交易で発展したのが、北前船による寄港都市だろう。欧州は『ハンザ同盟』として、王権から独立した自治が認められ、交易により莫大な富と文化を形成した。その威光と誇りは、『ハンブルグ』や『ブレーメン』のように、現代にも受け継がれている。一方、北前船交易では、寄港都市に『町衆』の自治や文化が栄えてきた。その多くが、今日の日本経済を支える企業などに受け継がれている。
 ハンザ都市と北前船寄港都市は、とても類似した自治や文化をもっていたと考えられる。しかし、ドイツではハンザ都市が現代でも残ったが、日本の北前船寄港都市は衰退している。この現状を富山県から変えていきたい。現代に、独自の都市国家と都市文化を蘇らせるのだ。それが、自由ハンザ都市『越中都』の実現にある。
  
<まずは、『ブレーメン州』と姉妹自治体を結ぶ>
 
 越中都による「自由ハンザ都市」を目指すために、まずはドイツの都市州『ハンブルグ』や『ブレーメン』から富山県が学ぶ必要がある。その為には、どちらかの都市と姉妹都市になることも考える必要があるだろう。『ハンブルグ都市州』は、大阪府と姉妹自治体を締結している。しかし、『ブレーメン都市州』は日本と姉妹自治体を結んでいない。富山県がブレーメン都市州と姉妹自治体となれば、富山県内でいまでも続いているドイツの自由ハンザ都市を学ぶことができる意義は大きいと考える。


【新地方国「越中都ーあい都ー」案】

 富山県と全ての県内市町村が合併する事で、新しい形態の自治体(地方国)『越中都ーあい都ー』を実現する。新しい地方国は、県と市の自治機能を兼ね、道州制で検討されている権限・財源を確保する。そして、「都市国家」と「地方政府」の実現を目指す。
 できれば越中都も、ドイツの『ハンブルグ』や『ブレーメン』のように、都市でありながら州でもある『都市州』となれれば理想であるが、日本の政令では人口500万人以上の自治体でないと認められないこととなっている。この基準自体が、とても日本的な決め方だろう。小さな自治体を減らし、大きな自治体を増やしたいという考えが反映しているからだ。さらに、中央集権体制の維持を念頭に、強大な権限を地方自治体には与えたくないという政府の強い意向が感じられる。
 ドイツの『自由ハンザ都市ブレーメン』は、人口66万人足らずで連邦州のひとつとなっている。越中都(富山県)は、ブレーメンのような立ち位置を目指したい。
 
 首長は、県知事と政令市の市長を兼ねた「都市兼任知事(以後、都市知事で表記)」のみとする。都市知事は、連続して任期を務める場合、2期8年までとする。地方政府として、現在の知事よりも権限を強化させ、地方の大統領的な役割を担う。都市知事には、米国の大統領チームを参考にした「政策ブレーン(補佐官)」を置けるようにする。都市知事の補佐官は5名程度とし、この他に報道官・法律顧問を含めて、7名程度で「都市知事チーム」を形成する。この7名は、必ず任命しなければならないように義務付け、都市知事公舎を設けて、地方国のホワイトハウス的な機能を持たせる。全てをひとりの知事が判断して決めるという専制的な制度から、多くの英知を集めてチームで判断して決めるという共和的な制度へと変えてゆくす。
 
 新しい議会も、県議会(現在の定員40名)と、全市町村議会(現在の定員合計327名)を兼ねる、「都市兼任議会(以後、大都市圏議会で表記)」を創設する。 新しい大都市圏議会の議員は、現状の県議員と市町村議員を兼ねるものとして、定員は100名ほどとする。議員は、行政区単位の小選挙区で選出する。これまでの非常勤から常勤とする事で、議会のレベルアップを図る。
 市町村に変わって『行政区』を設ける。行政区は12〜16区程度を想定、区人口は最低5万人以上と設定する。行政区には「区長」を置く。区長は、都市知事が選出して任命する(非公選)。地方公務員の特別職として、職員からの選出の他に、民間からの選出も可能とする。
 行政区には「区民会議」を設置する。定期的に区の予算を審議したり、区長への提言を行う。区民会議の委員は、地域コミュニティの代表者が行う。地域コミュニティは、エリアを各小学校の校区単位(連合自治会)とする。代表者(連合自治会の会長・副会長)の定員は各地域コミュニティから最低1名の選出が可能となるように、人口比例での定員設定を行う。この他に、新しい大都市圏議会の議員も、選出される行政区の区民会議委員を兼務する。区民会議は、平日の夜間ないし休日の開催として、委員は非常勤とするす。
 
 行政も、これまでの県庁と市役所を兼ねた「都市庁」を新設する。富山県と県内市町村の合併で、効率的で高度な行政組織を目指す。地方分権を強固なものとする為に、国の政府と連動した強力な地方政府とする。その実現の為に、都市庁では中央省庁と同様の地方省庁を設ける。8つの地方省を想定し、総務地方省・財務地方省・文部科学地方省・厚生労働地方省・農林水産地方省・経済産業地方省・国土交通地方省・環境地方省を設置する。地方省には長官を置く。地方省の長官は、都市知事が選出し任命する。長官は、政治家(都市議会議員も対象)を含む、民間人から起用する。職員からの投与を行わないことで、より強い地方政府をつくる。
 現在の都道府県より強固な地方国「越中都ーあい都ー」をつくることで、道州制に参加せずとも「地方分権」を具現化できるようになるだろう。

 仮に自由ハンザ都市実現が無理な場合でも、道州制での州都誘致には優位に進めることができると考える。