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都市のブランド化を図るためには、特別な存在になる必要がある。そこにしか無いもの。そこへ行かなければ、出会えないもの。そういった特別な物を、どれだけ抱えているかが重要となるのだ。 そして、それがどれだけ認知されるかどうか。越中を、全国から世界へアピールする際には、特別さを裏付ける要素が必要となる。その象徴的とも言えるのが、世界遺産だ。 世界遺産には、世界自然遺産・世界文化遺産・世界複合遺産からなる。五箇山は世界文化遺産。登録を目指している高岡や立山も文化遺産。日本では世界自然遺産が少ない。また自然と文化の両方を兼ねそろえた世界複合遺産は、日本にはひとつもない。
世界遺産は、唯一無二なものにしか認定されない。よく似たものがたくさんある場合は、世界遺産にはなれないのだ。 越中が誇る、「立山連峰」。しかし、立山は開発が進んでいる為に、自然遺産とはなれなかった。だが、富山湾を組み合わせば、希少価値は高まると考える。 立山連峰から富山湾までは、緊密に繋がっている。立山の雪解け水が、地中深く沈みこみ、長い月日を掛けて富山湾の海底から噴出してくる。それが、恵まれた富山の幸を生み出している。埋没林やほたるいか、シロえびをはじめ、富山湾でしかお目に掛かれない自然が多い。また、立山連峰の険しい地質が、そのまま富山湾へ潜り込み、アルプスが海底まで続いているとも言われる。立山連峰の表面だけをみているとわからないような、世界で唯一無二な希少価値の高い自然遺産がある。 また富山湾は、昔から有磯海と呼ばれ、万葉の歌枕としても有名な文化を持っている。定置網など独特な漁猟も多く、民族文化としても価値がある。
まずは立山連峰を、現在の中部山岳国立公園から切り離し、富山湾を組み入れた「立山有磯海国立公園」として、生まれ変わらせる事を検討してもらいたい。近年、既存の国立公園を分割して新たな国立公園が生まれている。日光国立公園から分離した尾瀬国立公園や上信越高原国立公園から分離した妙高戸隠連山国立公園などと同じように、富山県独自の国立公園化が誕生すれば、越中のブランド化を図る意味でも大きなプラス要素となる。 この独立の国立公園化を足がかりに、立山有磯海を「世界複合遺産」に認定させる事も、視野にいれたいものだ。世界で唯一無二な地形は、独特な自然遺産をつくっている。その自然を生かした民族の営みが、様々な文化遺産が生み出しており、日本で初の「世界複合遺産」が実現できるのではないだろうか。もし実現すれば、他の世界遺産と一線を画く、特別な地域となり、ブランド化が図れるだろう。 また、立山連峰の自然環境を維持して行く為に、入山者(登山者)から入山料(登山料)の徴収も検討する必要がある。最近は、立山へ訪れる観光客も多岐に渡っており、観光客のマナー問題も深刻になりつつある。観光客の自然に対する大切さを訴求する事と、頂いた収入を自然環境維持に使うことで、世界に向けた環境山岳地を目指したいものだ。現在、海外ではネパールの山岳地で登山料を徴収する制度があり、また国内でも富士山での登山料徴収が検討されている。立山連峰の登山料制度実現には、このような動きも参考すべきだろう。