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<検討したい項目>
・総合7大学+α育成(産学官研究型総合大学))
・県庁に『大学強化専門チーム』を新設
・総合教育学校(幼稚園から大学院までの一貫校)の育成
・都市型大学の育成
・ゼロ歳からの教育 
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<『優れた教育都市』の実現〜若者人口の確保〜>

 富山県は、歪な社会構造が常態化している。それは、大学や高等専門学校の進学で。若者が富山県を離れてしまう事にある。理想の社会構造とは、富山県で生まれ・育ち・学び・働き・暮らし・人生を謳歌して、富山県で生涯を全うすることにある。ところが、富山県では学ぶが欠けている状態だ。この改善を全力で取り組まない限り、富山県に活力は生まれない。そして、大学機関を複数持たない限り『優れた教育都市』とは言えないだろう。

 高等教育機関に関して、富山県は石川県に比べると大きく立ち後れている。現状、富山の四年制大学は、富山大学・県立大学・高岡法科大学・富山国際大学の4大学(14学部)。これに対して石川は、金沢大学・県立農業大学・県立看護大学・市立小松大学・金沢美術大学・北陸大学・金沢星陵大学・金城大学・金沢医科大学・金沢工業大学・金沢学院大学・北陸学院大学など12大学(30学部/16学類)。
 大学・短大・高専の学生数は、石川県は3万2千人なのに対して富山県は1万4千人(平成9年4月)。富山県には、石川県の半分以下の学生しかいない。また、大学の設置場所も石川県の場合、金沢市街地近郊に集中しており、金沢の商業活動を支えている。
 一方、富山県は市街地近郊にあるのは富山大学だけで、その他の大学は郊外。これでは、富山市・高岡市の商業活動に与える影響は小さいといえる。もっと大学を、市街地の近くに設置しなければ、街の活力も生まれてこないし、他県の若者から見ても、魅力ある大学には映らない。更に、北信越を見ても、この10年間で新潟県・長野県・福井県では、新設大学や新設学部が増えている。これに対して、富山県では新設された大学はゼロだ。新設された学部もわずか2学部に留まる。

 大学が少ない事は、単に街の活力を与えないだけではない。富山県にとって重要な問題点は、お金を掛けて育てた子供達が、大都市をはじめ県外の為に活動してしまう事だ。幼稚園から高校まで、親御さんは、多額の教育費を掛けて子供達を育てる。その子供達は、県外の大学や高等教育機関へ進学する。親御さんは、富山で稼いだ収入を地元で消費せずに、子供の為に多額な学費や仕送りとして県外へ送金している。その学費や仕送りは、県外の消費活動を助けることとなっているのだ。そして、富山県にとって最悪なのが、県外に進学した子供達が、結局は富山に戻ってこない事にある。せっかく、手塩を掛け投資した子供達は、他県の為に一生懸命働き、富山にとっては投資を回収できない構造が、長年続いてきた。しかし、更に富山県の矛盾した問題点は、行政や親御さんが、富山県の高い大学進学率を自慢する事になる。特に、地元の大学へ進学するよりも、大都市の大学へ進学する方が、自慢となっているのが深刻だ。しかも、教育県を自負する富山県だが、実際には大学進学率は52.2%(2017年度)に過ぎない。それに対して、石川県は54.4%、福井県は55.9%と富山県を上回っている。しかも、地元大学への進学率にいたっては、石川県が44.3%、福井県が28.8 %なのに対して、富山県はわずか17.7%で全国ランキングでも40位という有り様だ。とても教育県とは言えないだろう。この結果は、有効的な施策を打って来なかった行政の怠慢と言わざるを得ない。

 そして現実問題として、いま県内の大学が定員割れを起こしている。富山の若者は地元を選ばず、金沢や東京に憧れて、流出しはじめている事に危機感を持つ必要がある。更に、国立大学の統合再編の動きも有り、少数大学県の富山にとっては、今後大変厳しい状況になることが予想される。これを劇的に変えていく必要がある。

<総合大学と一貫校の増設>
 
 魅力ある大学は、市街地近郊・複数学部を有する総合大学・産学官研究型だ。
 現在ある大学・短大・専門学校・研究機関を支援し、定員を少数にしても複数の学部を有する総合大学を多数育てる必要がある。学部数は、最低でも5学部以上、将来的には各大学とも7学部程度を目指す。多様な学部がある事は、学生の選択肢を拡げ、他県に進学しなくても県内に進学できるチャンスをもたらす事になる。また、多様性の高い人材を県内で確保できる事のメリットも大きい。さらに、個性や魅力的な総合教育学園(幼稚園から大学院までの一貫校)も増やしたい。少子化が進む中、マンモス私立高校の定数を減らし、その分を付属中学校・付属小学校の設置を進める。一貫校で、質の高い教育の実現と、若者層の抱え込みを図ることで、県外流出を防ぐ効果も期待したい。その実現の為には、私学公立の枠を越えた、キャンパス再編が必要となるだろう。
 


<留学生を多く抱える大学は『強い大学』になれる>

 富山県で大学を増やしていく際に、大きな課題となるのは学生の確保だ。県内・国内の学生をいかに富山県へ向かわせるかが、大きな課題ではある。魅力的な『強い大学』があれば、学生は自然と集まってくる。その一方で、既に知名度のある大都市の大学と競争する場合、やはり富山の大学だと不利な状況は、そう簡単には変わらない。では、どうすべきなのか。学生は、国内だけではない。大学の国際化を進めれば、外国からの留学生を十分に集められるだろう。問題は、富山県の大学を外国の学生に認知させるかだ。ここは、地道な取り組みが必要となる。まずは、留学生が魅力と感じる要素を洗い出し、整備していくという地ならしを行いたい。
 
【留学生から見た魅力的な大学とは?】
 
・多様な入試方法の実施(英語による入試)
・英語カリキュラムの用意(英語による授業)
・9月入学に対応
・大学がビジネススクール国際認証を取得している
・就職やキャリア形成面でのサポート体制強化
・留学生が生活しやすい環境づくり(生活費などの支援)
・留学生向けの日本語学校を確保
・卒業後も富山県で住み続けやすい環境づくり(在留資格・居住権・永住権の取得サポート)
 
富山県の大学が魅力的であれば、世界から優秀な学生を集めることができる。国際的に多様な学生が富山県に集えば、日本の学生にとっても、国際性が養われ、向上心も高まる効果が期待できる。優れた人材が、富山県内から次々と誕生すれば、その人材目当てに、全国の企業を富山県に吸い寄せることにも繋がるだろう。
 各大学における留学生の比率は、20〜50%を目標としたい。これは、大学のレベルを推し量るバロメーター的なイメージとして捉え、留学生の比率が高いほど大学のレベルも高くなる。留学生が、次の留学生を増やす原動力ともしたい。それだけ、留学生からみて富山県が魅力的でなくてはならないということになる。。
 


<大学グループ(イノベーション・ビジネスキャンパス)の創出>

 大学増と学部増による学園都市を目指すとともに、大学を産業として位置づける必要もあるだろう。都市の経済力を高める為に、大学の学生数だけでも現在の5倍増となる5万人の確保を図りたい。教員や学校関係者なども含めれば、6万人の産業と位置づける事ができる。そして、住みたい街として、そのまま富山県に定住させる事を仕掛けたいものだ。
 また、総合大学を核に、既存企業・市民・ベンチャー企業・金融機関などを、ひとつの大学グループ(イノベーション・ビジネスキャンパス)として、地域を支える仕組みをつくる必要がある。このグループ創出で、新しいイノベーションによる産業育成に繋げる。ここでいうイノベーションとは、単に技術革新だけではなく、社会構造や市民意識をも含めた革新だ。これまで行政は、地域活性化やUターン政策として、工場や大手資本の誘致に心血を注いできた。しかし、他所からきた企業は、なかなかその土地には根付かないもの。経済動向次第では、簡単に撤退してしまうのが実態だ。誘致と撤退を繰り返すような戦略から抜け出さないとイケナイ時期にきているだろう。これからは、如何に地元企業を生み出し育てられるかの政策に転換しなければならない。その軸に据えたいのが「大学」だ。
 戦略的な大学や技術のある大学が増えれば、企業や研究者を呼び込める。また、専門知識を持った起業家やベンチャー企業も大学があればこそ。アメリカでは、大学ベンチャーから多くの大企業が誕生している。富山県は、もともとフロンティア精神旺盛な土地柄。多くの起業家が、全国有数の企業を生んできた。今一度、富山を起業王国にするには、大学の果たす役割は大きい。大学を軸に、「人・情報・資本」を呼び込み、「初等教育から生涯学習まで」を行なうことで、地域に根ざした「人づくり」を行なう。そんな長期的な視野に立った「戦略的な社会システム」を、行政が積極的に構築できれば、富山県ならではのアイデンティティーも生まれ、人を引きつける事も可能となるのではないだろうか。各大学のイノベーション・ビジネスキャンパスから、多くの企業を輩出したい。そのひとつの目標として、50年後に各イノベーション・ビジネスキャンパスから、東証1部上場企業を5社程度輩出、うち1〜2社は、国際的な企業化を目指したい。
 少子化のなか、大学経営は厳しさを増している。大都市と地方との大学格差が広がりつつある。だからこそ、あえて他の都市とは逆の戦略を行なう必要が重要だ。それは、富山県が大学を地域づくりの中軸に据える事ではないだろうか。
 この大学グループ(イノベーション・ビジネスキャンパス)の具現化も目指す。大学支援企業の研究機関・ベンチャー企業のオフィス団地を、大学キャンパス内に設けて、連携しやすい環境を行政指導で進めていく。当面は、イノベーション・ビジネスキャンパスは7大学の整備に集中する。将来的(50年後程)には、更にプラス5大学を加えた総合大学12大学化を目指したい。


<『ローカル大学からの脱却』〜国立富山大学の名称変更〜>

 国立富山大学は、もともと旧2期校のため、大学ランクでどうしても低く見られてしまう傾向にある。また、大学名でも富山を名乗る事で、ローカル都市の大学というイメージが付いている。このような、ローカル大学から、富山大学は変革をしていかないと、全国的に生き残れないだろう。東北大学、九州大学のように、都市名からエリアを総称する大学名になれば、広域から学生を集めやすくなり、外国からの留学生の誘学も期待できるだろう。
 大学改革で、1大学法人のもとに複数の大学をぶら下げるアンブレラ制度が認められるようになったのを、富山大学でも取り入れたい。独立大学法人の富山大学は名称を残しつつ、現在の富山大学を2つの大学に分ける。ひとつは、富山市内にキャンパスを構える大学として『日本海大学」を設立する。大学名に、日本海を使う事で日本全国を対象にした大学イメージを持たせる。学部数は、新たに設ける学部も含めて10学部の総合大学とする。また、高岡市内にキャンパスを構える大学として『北陸芸術文化大学』を設立する。こちらは、北陸を冠につける事で、三大都市圏からの学生確保を狙う。学部数は、新設も含めて、5学部の総合大学を目指す。これらの取り組みで、金沢大学や新潟大学との差別化と、ランク逆転を狙いたい。

<行政による大学育成と支援『大学強化専門チーム』の新設>

 厳しい状況の大学経営をサポートするのは、行政の役割となる。その為には、県庁内に『大学強化専門チーム』を新設する必要がある。行政の財政も厳しいが、工業団地の造成や誘致企業の補助金制度のような産業育成を、大学育成にも適用していく必要がある。大学誘致にはこれまでも、大学設置に必要な用地を無償提供や補助金制度があるものの、大学育成に掛かるアフターケアが不足している。大学の増学部などに必要な新規用地や教職員確保、更に学部増設の許認可で行政職員の派遣など人的サポートをする。ハード面だけではなくソフト面でのケアが必要であろう。また、運営が厳しくなった私立大学を、一時的に公立(市立)大学とする事で再建を図り、総合大学とした時点で私立大学に戻す事も検討する必要がある。少子化のなか、私立の高等学校も運営が厳しくなっている。大学を持たない私立高校にも、四年制大学が開設できるよう、専門チームが支援することも取り組む必要があるだろう。


【大学育成の目標】

1、総合7大学40学部、プラスαを目指す
2、県内の大学進学率を、現在の50%前半から欧米並みの80%台へ引き上げる
3、県内大学への進学率を、現在の10%後半から金沢並みの50%台へ引き上げる
4、県内の大学生数を、現在の1万4千人から金沢並みの3万5千人レベルに引き上げる

【行政による大学育成の具体案】

1、学生補助金制度〜県内の高校卒業生で、県内の大学に進学する学生に対して、月額1万円の無償奨学金を行なう
2、町なか居住の斡旋〜県外から県内の大学へ進学した学生を対象に、町なかの空家を低額で提供する制度の創設、県内の大学に進学した学生を持つ県内の世帯には、住民税の軽減処置を行なう
3、私立公立を問わず、各大学をサポートする指定校(小学校・中学校・高校)を複数校設け、大学教育をフィードバックさせる
4、大学発のキャンパス・カンパニーやガレージ・カンパニーを支援する公的なベンチャーキャピタル制度を設ける
5、公的な諮問委員会など専門の学者を必要とする場合は、必ず県内大学の学者に限定する規制を設ける
6、運営の厳しくなった私立大学を、一時的に公立(市立)大学として再建を図る

<廃校となる高校を活用した新設大学の実現>


 小学校・中学校・高等学校の統廃合が、今後進むと考えられる。特に、都市部では多くの校舎跡地が出てくる見込みだ。この小中高の再編に伴う、校舎跡地や教員を、新設大学などに転用することを検討してもらいたい。
 例えば、高岡地区で高校の再編を検討する際には、高校が集中している高岡高校・工芸高校・志貴野高校跡地を、新設大学用として転用を図るのである。隣接地の使われていない公用地も活用した「医療系総合大学」の実現を目指してもらいたい。市民病院を付属病院とした医学部や看護衛生学部などを有する、公立大学も検討したいものだ。都心部に近い大学を確保することで、街の活性化へ繋げるとともに、若者からも魅力的に見えるキャンパスライフを提供する。
 富山地区でも、都心部で効率的なキャンパス再編を実現させ、大学が設置できるレベルのキャンパス用地の確保を目指す必要がある。都心部に大学を張り付けられれば、社会人入学や生涯学習機関としての活用も想定できるだろう。
 


<真のノーベル街道をつくろう!>

 富山県では、県内にゆかりあるノーベル受賞者が多いとして、『ノーベル街道』などをアピールしている。しかし、残念ながら県内の大学や県内企業からの受賞者ではない。では、県内にゆかりあるノーベル受賞者が多いというのは、何がメリットなのか?、良くわかっていないの実情だ。「何か富山県は凄いでしょう!?」という自慢で終わっているだけだろう。
 富山県が、国立も私立も、優れた大学を複数持ち、本当の意味での『優れた教育都市』になれば、そう遠くない未来に、富山県の大学から『ノーベル受賞者』が誕生する。そういう目標も、持てるようになるのではないだろうか。それは、夢物語ではない。「やることをやる」。そうすれば、夢の実現は私たち自身で叶えられる。2050年を目標に、富山県の大学から『ノーベル受賞者』誕生を目指したいものだ。欧米の優れた都市の大学では、地方の大学であっても、3人4人とノーベル受賞者を抱えている大学がある。富山県の大学でも、ノーベル受賞者を排出できれば、日本国内や外国から、優れた学生が自然に富山県を目指すようになる。優れた好循環を生み出せるのだ。だからこそ、『富山県からノーベル受賞者の誕生を!』を、行政が旗振り役として推進する必要性があると考える。