越中ハンザ都市『鐵路〜富山都市圏〜』



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<検討したい項目>

・富山市圏での外環状鉄道を整備
 (高山線+地鉄上滝線+新線建設)
・開発型鉄道の導入
・路面電車の地鉄上滝線乗り入れ
・BHLSの導入(環状線内ネットワークの構築)


<富山市都市圏内に「富山外環状線」を整備>

 富山市では、鉄道を軸に据えて「環境問題」や「高齢化時代」に対応した街づくりを進めている。
 この政策を更に進めて、富山市都市圏内で外郭の環状鉄道実現を目指したい。地鉄上滝線(富山ー南富山間)と、現在のJR高山線(富山ー速星間)の電化。富山南ー富山空港ー速星間を新線で整備して、富山市都市圏内の環状鉄道「富山外環状線」を実現させたい。

 この富山外環状線は1周22キロ程で、JR大阪環状線とほぼ同規模となる。1周約40分、運行間隔は上下線とも日中は10分〜15分、ラッシュ時は7〜8分間隔を確保したい。
 新線は、富山空港への乗り入れやアピタ富山インター店などの大型商業施設、北陸道富山インターチェンジなどをルートとして検討したい。新線区間は複線化とし、富山南ー富山インター間は連続立体高架化、富山インターー速星間は盛り土高架化(一部トンネル化)とし、開通後は、富山ー富山南間を複線の連続立体高架化を検討する。また、富山駅-稲荷駅間で、かつてあった地鉄と北陸線の渡り線を復活する必要がある。その際には、県道八幡田稲荷線の地下化と渡り線の立体交差化など北陸新幹線の2層高架を含めると、4層の立体交差をする事も必要だろう。

 高山線からは特急「ひだ」を、外環状線に直接乗り入れて富山空港経由とすることで、空港から飛騨観光地を直結させる。また外環状線を活用して、富山空港と高岡方面を結ぶ運行車両も検討したい。この外環状線化にあわせて、富山地鉄上滝線の南富山ー岩峅寺間を路面電車化して市内軌道線と直結させる。更に市内軌道線を、五福からJR高山線の新駅(安養坊付近)に乗り入れ、利便性を高めさせる。

<「レールブルグ(鉄道城壁)」による街づくり提案>

 欧州では、中世時代に街づくりを城(ブルグ)を中心に城壁内へ集約させてきた。城壁を境に、外と中では商業と農業が機能的に分けられた事で、街の機能は文化的にも高いものとなった。欧州では、その思考を現代にも受け継がれている。富山の街づくりも、この外環状線を城壁に見立てて、外環状線内に街機能を集約させることで、都市としての魅力を高める事を目指すべきだろう。このレールブルグ(外環状線内)では、車の走行規制を行い、人を中心とした街づくりを行ないたい。  
 
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↑ゼロから構築された宇都宮ライトレール         北海道新幹線開業が待たれる札幌駅

 
<在来線に、「開発型新駅」の増設と「開発型鉄路」>

 富山外環状線の建設には、郊外大型店規制政策を活用したい。例えば、既存のアピタ富山インター店などには、売場面積の増床を認める変わりに、富山外環状線の駅設置で建設費や用地を負担してもらうのだ。また、ルート上の富山インターー富山空港間にも、大型店誘導地域としてもらい、進出する大手商業資本に、駅設置や用地の負担をさせる事も考えられる。
 この他にも、富山空港ー速星間は、工業団地あるいはオフィス団地として分譲する際に、駅と鉄道の建設費を、分譲価格に上乗せすることも検討できる。高速道路の「開発型インターチェンジ」と言われる手法を、鉄路や駅設置にも応用し「開発型鉄道」とするのだ。分譲住宅やマンションを、新駅・新線へ誘導配置を目指す必要もある。その為に、郊外の分譲を既成する必要が出て来るだろう。手法としては、都市基盤調整税を導入する。分譲住宅やマンション分譲に一定の地域課税を行う。その税収で、新駅などの整備費用にあてる。但し、駅周辺(新駅予定地も含む)の半径7百メートル圏内、および線路周辺(新線予定も含む)の両側5百メートルでの分譲住宅や分譲マンションには課税免除を行う。
 さらに、沿線に新規の総合大学を複数配置する事も検討すべきだろう。かつて、山手線や大阪環状線の沿線には、総合大学が多くできたことで鉄道利用者が増え、周辺開発も進んだ。同じ事が、富山外環状線でも可能だろう。
 このような取り組みを行えば、かなりの建設費を賄うことができるのではないだろうか。そして、地域に使われることを目的とした、鉄路の活性化を目指したいものである。近年、全国的にも空港と市街地を結ぶ鉄道建設が盛んだ。熊本空港と市街地を結ぶ鉄道は、約10キロを新線として設けられ、その事業費は380億円。仙台空港線は約7キロで、建設費は349億円と言われています。富山外環状線の新線は、建設距離は約8.5キロで、建設費は380億円程度が想定されます。

 外環状線の北側に新幹線駅、南側に空港駅を構えることで、富山市のステイタス度を高めることが出来る。この外環状線開通後は、利用状況も踏まえつつ、既存の鉄道網を活かす形で、さらに広範囲な外環状鉄道を検討したい。

↑ 長年の懸案だったモノレールを開業した那覇市の「ゆいレール」
↓ 北陸線と高岡環状道路(蓮花寺陸橋)


  


<公共インフラ事業としての鉄道整備>

 これからの在来線は、より生活圏に密着した公共交通機関として育成しなければならないだろう。特に、現在の鉄道資産を活かしつつ、道路整備などと同じような”公共インフラ事業”として扱う事が重要だ。ヨーロッパでは、鉄道・路面電車を軸とした鉄道社会復権「モーダルシフト」を推し進めているが、日本でもこれからの社会構造・価値観を見直す必要がある。特に今後は、資源問題や環境問題にも対応しなければならいない。10年後の社会を見越した「鉄道整備」は、行う価値が十分あるだろう。その為には、日本版「モーダルシフト」を鮮明に打ち出す事が大事だ。
 都市部の道路整備などでは、環状道路が何重にも整備されている。鉄道整備でも道路整備と同様に考えるべきだ。富山市内軌道の環状線化が 「内環状鉄道」とすれば、富山環状線が 「外環状鉄道」といえるだろう。これらの環状鉄道に、既存の鉄道網・路面電車網・コミュニティバス網を絡めて、生活圏・商業圏を巧みに結びつけるのだ。
 中心市街地からクルマを締め出すようなトランジットモールの構築など、市民・住民の理解を得ながら”街づくりのムーブメント化”を起こしたい。一端、動き出し歯車が合えば、一気に”街が変わり””街が動き続ける”ようになるだろう。
 脱クルマ社会を目指し、これからの高齢化問題・少子化問題・環境問題・資源問題・都市間競争問題などにも立ち向かう武器として、鉄道整備を考えたいものだ。
・大手モールのトランジットモール化
・市の南北に「道の駅」を設置(鉄道に隣接)、パーク&ライド化を図る
・将来的には、JR中日本の創設と本社機能の富山誘致を検討する

 高山線の活性化も検討したい。経営がJR東海とJR西日本に別れていることがネックにあり、今後は、高山線を全線にわたってJR東海に任せた方が活性化すると考える。

<LRTの路線延伸>

  富山市は、LRTを中心に次世代交通都市をして世界的な街にする必要がある。基幹交通網としてもLRTの延伸は重要だ。
 
【LRT延伸路線の想定】
 
1、カナルパーク線 (富山駅ーカナルパーク間)
2、呉羽線 (富山大学駅ー呉羽間)
3、不二越線 (西町駅ー不二越駅間)
 
 これらの路線候補は、LRTを延伸しても採算性が見込める。不二越線は、かつて廃線となったが、都心回帰の観点からも復活させたいものだ。

<BHLS(バス・ハイレベル・サービス)の導入>

 富山外環状線が実現できれば、外環状線の内側にさらになる2次交通を確保する必要がある。しかし、鉄軌道のLRT整備にはそれなりの建設費用が掛かるため、ある程度の利用者見込みがなければ導入しずらい課題がある。そこで、国内ではLRT的なバス高速輸送システム『BRT(バス・ラビット・トランジット=バス高速輸送システム)』の導入を進めている自治体が増えてきた。理由は、導入費の安さだ。一般道を活用できて、車両も一般的な路線バスではじめられる。しかし、BRTは定時運行性や速達性に乏しく、モビリティデザイン的にもバスというイメージを脱却できていない。名称はBRTという新しいイメージはあるが、いざ導入すると、これまでの路線バスとの違いを感じられないケースが多い。
 先行する欧州では、このBRTが抱える課題を改善させた『BHLS(バス・ハイレベル・サービス)』が登場しはじめている。これは、BHLSの専用道路を整備させたことで、定時運行性を確保し、高速運転で速達性を高め、2連結から4連結バスによる大量輸送を可能にしたものだ。
 また名古屋市では、BHLSに近い構想の『SRT(スマート・ロードウェイ・トランジット)』を、中央リニア新幹線開業時までに導入する計画を進めている。これは、LRTのような乗り心地の車両開発とBRTのような道路網を活用するイメージと言われ、既存鉄道や地下鉄を補完して都市の回遊性を高めることが目的とされている。
 SRTのモデルとなったのが、フランス『ルーアン市』のTEORだ。TEORは、一般的なBRT(専用バスレーン)を進化させて、一般道路からバスレーンを完全分離させた専用路線化したバスシステム。LRTに匹敵する定時制と輸送力を実現させている。また既存のLRTは、市街地で地下鉄化させるなど、高い公共交通網を構築している。
 

 富山市でもBHLSを導入できれば、LRTと並んで象徴的な街づくりとすることができるだろう。実現すれば、富山外環状線の内側に2次交通ができる。山手線や大阪環状線の内側は、地下鉄ネットワークが整備されたことで、2次交通の利便性は高く、山手線や大阪環状線の利用者を確保する効果がある。富山外環状線を実現させるためにも、外環状線内側の2次交通『BHLS専用道路ネットワーク』を整備することで利便性を確保したい。つまり、東京・大阪の環状線内の地下鉄網が、富山市ではLRTとBHLSのネットワークで同じような役割を持たせるのだ。これによって、富山外環状線では公共交通機関だけで都会的な生活できる環境が可能となるだろう。
 BHLSで導入する車両は、日本初となる3連結バスとしたい。BHLS専用道路の整備、既存4車線道路の2車線をBHLS専用レーン転用、幹線道路では歩道を立体化して下部をアーケードに上部をバス専用道として整備を図る。料金支払いシステムは、各停留所に改札ゲートを設けて、バスの車外で支払いする事で、BHLSの定時運行を高める。車外支払いは、LRTでも導入を検討したい。料金は一律として、利便性を優先させる。運行間隔は、日中は10〜15分間隔、ラッシュ時は7〜8分間隔を目指したい。BHLS路線では、無散水式融雪装置を完備させて、積雪時にも強い路線としたい。将来的には、自動運転車両の導入を図かり、モビリティーシティとして全国のトップランナーを目指す。
 
【BHLSの運行ルートは4系統を想定】
 
1、きた東西線 (中川原ー大泉駅ー城南公園ー西富山駅と婦中鵜坂駅の中間新駅)
2、みなみ東西線 (富山駅ー東田地方ー南富山駅ー掛尾ーファボーレ富山ー速星駅)
3、ひがし南北線 (富山駅ーけやき通りー布瀬ー富山空港の新駅ー県総合運動公園)
4、にし南北線 (桜谷ー五福の新駅ー有沢ー中央植物園ー婦中持田付近の新駅)
 
 BHLSの利用者が増えれば、将来はLRT化へ移行を図ることも想定する。ルートの重なる箇所には、乗り継ぎが楽にできるように連絡用ペデストリアンデッキもしくはBHLSステーション(駅舎)を設置する。またBHLSでは、バス停や停留所という呼び方ではなく、鉄道やLRTと同じ扱いとして駅と呼ぶようにしたい。これにより、都市としてのブランド価値を高めさせることを狙う。
 
 富山外環状線・LRT網・BHLS網を整備することで、富山外環状線の内側では、最寄りの駅までは歩いで行けることを実現させることが重要だ。そうすれば、自家用車を持たなくても『富山外環状線内では都会的な生活を送れる』ことになる。全国的な都市間競争で打ち勝つことも可能となるだろう。
 
↓名古屋市の基幹バスレーン              ↓宮城県志津川 BRT停留所


  


<「あいの風とやま鉄道」の新駅増設と「鉄道支援道路」の整備>

 第3セクター化された在来線の「あいの風とやま鉄道」。富山県では、ある程度の利用者が確保できると言われているが、新駅を増設できれば、もっと利用率はあげられる。特に人口密度が高い「富山高岡広域都市圏」の東富山駅ー西高岡駅間に、新駅を増設させる必要があるだろう。
 これからの在来線の有り方として、現状の都市の「点」と都市の「点」を結んでいる状態から、駅と駅の間隔を短くした「帯状」を目指すという考え方をしなければいけないであろう。その為には、鉄道に平行して走る「鉄道支援道路」を整備して、沿線開発の後押しする必要がある。駅の増設は、利用者が、これまで何らかの交通手段で駅へ出ていたという「2次的交通手段」だった在来線を、利用者が直接、駅に出るという「1次的交通手段」に転換することを意味するのだ。
 富山県では、あいの風とやま鉄道の新駅設置に関して、基準を設けている。新駅設置の基準は、既存の駅間が4キロ以上離れていること。この基準の算出は、これまでの都市と都市を結ぶアーバン鉄道の考え方、列車の運行スピード確保をしなければいけないというもののままだ。しかし、アーバン鉄道の役割は、北陸新幹線に移行しており、列車の運行スピード確保はもはや必要ではない。あいの風とやま鉄道」を生活鉄道としての役割を担うべきだ。しかも、路線バスが廃止や縮小されている。最寄り駅に向かう場合、沿線住民はバス路線がなくなった事で、車を利用するしかない状況だ。まして、これからは高齢化社会。車を運転できない方が増えてくる。そうなれば、最寄り駅までは歩くしかない。仮に駅間が2キロ以上必要となれば、鉄道路線の中間に位置する住民でも、徒歩で1キロ以上歩く必要がある。鉄道沿線から離れている住民なら、2キロ以上も歩く必要が出てくる。新駅設置の基準、既存の駅間が4キロ以上離れている事では、沿線住民の利便性を十分に確保できないだろう。この基準を緩和する必要がある。せめて、最低でも3キロ以上ぐらいに緩和したいものだ。また、新駅設置の基準では、乗降者数の見込みも必要となっている。高岡やぶなみ駅では、乗降者数の見込みを1日1,600人。富山口駅では、乗降者数の見込みを1日2,500人としていた。この必要とされる乗降者数の見込みも、緩和したいものだ。新駅をつくって、周辺開発を行うのを基本とすれば、乗降者数の見込みを1日1,000人からとしても良いのではないだろうか。

 新駅設置には、郊外大型店規制も活用できるだろう。
 富山では、中心商店街活性化の為に、郊外大型店を規制して商業資本の中心地誘導を進めている。新駅設置予定地には、大規模店規制を掛けずに、大手商業資本を呼び込みたい。
 進出してくる大手商業資本には、新駅と連携するような商業施設として、新駅の建設費も負担してもらうことも考えられる。これによって新駅は、商業施設を一体化させるような橋上駅化や、駐車場をパーク&ライドとして使用できるようにもしたいものだ。

 まずは、既存店でモデルケースをつくりたい。例えば、富山駅ー東富山駅間にあるアピタ富山東店。アピタの増床を勧める条件で、新駅の設置負担を求める。出来れば、商業施設と連携した駅デザインを目指して、利便性を追求することも検討してもらう。そして、高山線の西富山駅ー速星間にも、大手商業資本を誘致して、新駅を併設させる事も検討したい。
 郊外大型店規制と鉄路の活性化を、組み合わせた取り組みは、行政負担を軽くするだけでなく、市民生活の向上にも繋がると考えられる。

 →東富山駅ー西高岡駅間は、1〜2キロ間隔での駅設置を目指したい
 →新設する駅は、道路の立体交差陸橋を利用した橋上駅を多く確保したい
 →富山駅ー高岡駅間は、日中10〜15分間隔(ラッシュ時7〜8分間隔)の運行を確保したい
 

↑ベンツ製の2連結バス
↑日本初の本格的LRT 「富山ライトレール」
 


<「LRT文化」にアーバンデザインの導入を>
 「LRT文化」を成熟させるためには、デザイン要素も欠かせない。ヨーロッパでは、街と交通機関のトータル的なデザイン構築 「アーバンデザイン」の導入が進んでいる。富山でも、行政の関係機関に、アーバンデザインを担当する部署等が必要ではないだろうか。鉄道や路面電車などの「LRT文化」は、将来の遺産になる可能性がある。トータル的な街デザインを考え、50年100年を見越した「街の遺産づくり」を目指したいものだ。

<環境に配慮した「LRT」社会の構築>

 街の「LRT社会」化は、単に生活圏を向上させるだけではなく、これからの資源問題・環境問題にも配慮しなければならない。例えば、ポートラムなどとアクセスするフィーダーバスなどには、ミニ電気バスや天然ガスバスを導入したいものだ。また、都市部のレンタカーなどでも、電気自動車や天然ガス車を導入することによって、真の「LRT社会」になると考える。

<鉄道駅を併設した「道の駅」設置で、パーク&ライド化>

 鉄道の公共性や脱クルマ社会を目指す為に、クルマから鉄道へのスムーズなアクセスを図る必要がある。その為には、「道の駅」を活用した「パーク&ライドシステム」の導入を検討したい。例えば、国道8号線と富山ライトレールが交差する場所に、「とやま道の北駅」を設置し、富山ライトレールを活用した市内への誘導を図る。一方、北陸道富山インター・国道41号線と外環状鉄道が交差する場所に、「とやま道の南駅」を設置し、外環状鉄道富山線への誘導を図る。
 市の南北に、鉄道駅を備えた「道の駅」を設置することで、都市部へのクルマ乗り入れを抑制させる。交通対策・環境対策から考えても、一石二兆と言えるだろう。

↑富山ライトレール「岩瀬浜駅」でのフィーダーバス接続 ↑金沢駅在来線連続立体高架駅