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 ↑金沢港クルーズターミナル                      ↑富山新港 旅客船接岸バース 
 
<検討したい項目>
・国際港に相応しい海の旅客船ターミナル実現
珠洲ー富山の定期船復活
・富山湾遊覧クルーズの就航

<旅客船ターミナルの実現>

 豪華客船のクルーズ旅行が、日本でも定着しつつある。富山県では、大きな港があるおかげて、豪華クルーズ船の寄港地として伏木港が選ばれる事が、かつては多かった。ところが、北陸新幹線の金沢開業により、金沢への観光ニーズが爆発的に広がった影響で、いまや豪華客船の寄港地は、金沢港に完全に取られてしまった。そして、金沢港には『金沢港クルーズターミナル』が整備された。3階建の旅客ターミナルで、クルーズ船の2隻同時接岸にも対応し、CIQ・待合エリア・観光案内所も完備している。金沢港クルーズターミナルの場所も非常に良く、JR金沢駅の西口から伸びる50メートル道路の金沢港に突き当る場所に建設された。これにより、金沢市街地へのアクセスも近いイメージが演出できている。これまで、金沢港では、水深10メートルの接岸バースはひとつしかなかったが、クルーズターミナル側も旅客船専用バースを、水深10メートルに掘り下げたことで、14万トン級のクルーズ船寄港が容易となった。全長290メートル、11万トン級のダイヤモンドプリンセスも、余裕をもって接岸できる。金沢港へのクルーズ船寄港は、新幹線開業前まで年3〜4隻程度だったが、2020年は年50隻程度と10倍以上に膨らんでいる。それに対して、伏木富山港は新幹線開業前には、年10隻近くのクルーズ船寄港が、2020年は5隻に止まっている。また、富山県は金沢市に大きく先を越されたのが現状である。

 富山県でも、金沢港クルーズターミナルのような旅客船ターミナルの早期整備が必要だ。伏木港・富山新港の海王丸パーク・富山港のクルーズ船や定期航路の確保を急ぎたい。
 
<伏木港>

 ・14万〜22万トン級の大型から超大型クルーズ船までが対応できる寄港地として整備する
 
 現在、クルーズ船の寄港は高岡の伏木港が多い。伏木港の場合は、もともとウラジオストクとの旅客船定期便があったこともありCIQ機能が
ある。伏木外港の接岸バースは水深14メートルあり、世界最大の22万トン級クルーズ船も寄港は可能だ。しかし、RORO船・貨物コンテナ船などと共用であるため、運用面での制約がある。その為、旅客船ターミナルも整備されていない。伏木外港は1/3が未完成というネックもある。現在の接岸バースに隣接した増設エリアを、早期に完成させる必要があるだろう。水深14メートルの接岸バースが1バースしかない点も課題だ。世界最大級のビッグクルーズ船は全長が360メートルクラスになる。これを余裕をもって接岸させるためには、隣接するバースの水深を、現在の10メートルから14メートルに掘り下げたいものだ。
 
<富山新港>
 ・2万〜14万トン級の中型から大型クルーズ船までが対応できる寄港地として整備する
 ・伏木港とあわせて、14万トン級の大型クルーズ船、2隻同時の寄港を可能とする
 ・海王岸壁に隣接してクルーズターミナルを整備する
 ・万葉線に最寄りの新駅を設置、ペデストリアンデッキでクルーズターミナルと結ぶ
 ・毎週末に、定期的な富山湾周遊クルーズを実現させる
 
 富山新港にも、水深14メートルの接岸バースが複数ある。しかし、大型のクルーズ船は利用できない。というのも、富山新港の開口部に掛かる新湊大橋の橋桁高さが低いため、クルーズ船が通過できないのだ。もともと、新湊大橋は、豪華客船クィーンエリザベスが通過できるようにする予定だった。ところが、
外港埋立地に海王丸パークを整備する事となり、海王岸壁に旅客船ターミナルも設ける構想に変更となったため、新湊大橋構想は規模が縮小された。橋桁も低くなり、大型クルーズ船が通過できなくなったのだ。ところが、海王岸壁に整備予定だった旅客船ターミナルは、需要が見込めないという事で立ち消えとなり、旅客船専用の接岸バースのみが設けられた。この接岸バースは、水深が7.5メートルしかない為、3万トン級までのクルーズ船しか接岸できず、岸壁延長も220メートルしかない問題がある。現在、海王岸壁を60メートルの延長と、水深9メートルに掘り下げて、5万トン級の中型船に対応する計画がある。だが、14万トン級のクルーズ船寄港が重なった場合、伏木港だけでは対応できず、富山新港でも14万トン級の寄港ができるよう整備計画の規模拡大が必要だろう。その為には、水深を10メートルに掘り下げ、岸壁も100メートルほど延長する必要がある。この規模となれば、富山新港にクルーズターミナルを整備する意義が出てくるだろう。また、海王岸壁側では、近くに万葉線が走っており、クルーズターミナルの最寄り駅を設けて、クルーズターミナルまでペデストリアンデッキで結ぶ事も検討したいものだ。
 
<富山港>
 ・2万トン級までの定期旅客船の拠点として整備する
 ・ホテル機能がある定期旅客船ターミナルを整備する
 ・ポートラムを旅客船ターミナルまで延伸させる
 ・定期航路(その1)富山港ー珠洲港 1日2便 母港は珠洲港
 ・定期航路(その2)富山港ー佐渡小木港 1日1便 母港は富山港
 ・定期航路(その3)富山港ー七尾港ー和倉温泉ー七尾湾周遊 1日2便 母港は七尾港
 ・定期航路(その4)富山港ー小樽港 1日1便 母港は富山港/小樽港
 ・定期航路(その5)富山港ー博多港 週3便 母港は富山港/博多港
 ・定期航路(その6)富山港ーウラジオストク港 週3便 母港は富山港
 
 富山港では、以前に能登の珠洲市との間に、定期船が就航していた事もあり、旅客船の実績がある。しかし、旅客船が使用できる接岸バースは水深10メートルあるものの、港の構造の問題から、2万トン級のクルーズ船しか寄港できない状況だ。富山港は、富山駅に一番近い旅客港として、クルーズ船ではなく一般の旅客船の就航を目指したい。一般的な旅客船は、2万トンクラスが主流になる。まずは、ウラジオストクの定期船と珠洲市との定期船を復活させる。また、七尾港・和倉温泉、佐渡島、北海道小樽、九州福岡を結ぶ定期船の新規就航や富山湾を巡る遊覧船などの実現させたい。これだけの定期船が実現するとなれば、2万トン級の船舶を3隻同時接岸ができるようにしたいものだ。また、富山港にも旅客船ターミナルを整備して、ホテル機能も設けることで、夜まで楽しめる場所にする必要もあるだろう。このようになれば、一定量の利用者が確保でき、ポートラムを旅客船ターミナルまで延伸する事も可能となる。
 富山港が、本格的な定期旅客船港となれば、貨物船などの荷捌きに大きな支障が出てくる。富山港では、富山外港の整備計画があるが、早期の実現が必要となるだろう。
  
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<検討したい項目>
・国際都市を目指す為に、経済特区の誘致を目指す

 富山には、日本海側で2箇所しかない「特定重要港湾 富山・伏木港」を抱えている。特定重要港湾とは、国際貿易で特に重要な拠点を、政令により指定された港湾で、全国に23港が指定されている。
 富山・伏木港は、富山港・富山新港・伏木港から構成され、貿易額は一時期伸び悩みもあったが、現在では年間で4千億円を超えるまでに成長している。しかし新潟港では、富山伏木港を遥かに上回るペースで貿易額を伸ばしており、現在は年間1兆円を超えるまでに成長している。更なる努力が必要と言えるだろう。

 富山県は、この「富山・伏木港」をまだ十分に活用しているとはいえない。環日本海貿易は、好調なロシア・韓国・中国をターゲットに、さらに伸びる可能性がある。特に、内湾という利点や三大都市圏(首都圏・関西圏・中京圏)への物流拠点としての利便性を、活かしきれてない状況だ。

 「富山・伏木港↓」を確固とした地位にするためには、戦略的な取り組みを行いたいものである。
 近年では、石川県の金沢港もコマツ製作所の工場誘致をきっかけに、規模拡大が進んでいる。2019年の港湾稼働率は97%に達しており。日本海側のライバル港として、「富山・伏木港」を脅かす存在となりつつある。もはや、北陸で唯一の国際港の優位性はない。
 今後、「富山・伏木港」を大きく育ていく為には、長野市や松本市などの信州経済圏を、いかに取り込むかが重要となるだろう。その為には、北アルプス横断道路を、早期に実現させる必要がある。もし実現できれば、「富山・伏木港」の後背地人口は、飛騨地域も含めて 「350万人」 となり、日本海側最大となる。国際港湾都市として、「富山・伏木港」 は確固とした地位を得ることができるだろう。
 その為のイメージ作りとして、「環日本海のオアシス港湾」を打ち出すことが考えられる。
 後押しとして、環日本海の経済特区としての認定を受ける必要もあるだろう。国内では、沖縄・神戸などが、既に認定を受けてるが、日本海側を代表する形で、富山が経済特区に名乗りをあげるのだ。
 経済特区の内容としては、貿易特区・金融特区・交流特区から構成させる。また日本海側では、新潟港しか指定を受けていない「中核国際港湾」の指定を目指す必要もあるだろう。


 ↑ 富山新港と臨海工業地域

<参考サイト>
○新湊大橋(臨港道路富山新港東西線)
○環日本海経済交流センター(富山県)
○環日本海経済研究所(新潟市)
○経済特区沖縄(沖縄県)
○国際みなと経済特区(神戸市)


<日本海ゲートブリッジ(新湊大橋)のシンボル化>

 いま日本海では、「環日本海ゲートウェイ構想」が注目されている。中国やロシアの経済発展が著しくなり、大陸へのアクセスが重要視されているからだ。そして、日本からアジア大陸への流れとして、日本海側が見直されてきた。もともと日本海側は、太古から大陸との貿易が盛んであり、特に江戸時代の北前船が全盛だった時期には、交易が富を産む「日本海自由経済圏」として確立されていた。日本海では、人・物・金が行き交い、富山の地でも港湾はにぎわいと繁栄を持つ事となる。それはまるで、中世ヨーロッパで栄えた商業を軸とした都市国家「自由ハンザ都市」のようでもあった。
 今一度、日本海を交易が盛んな地域へと導く必要がある。その為には「日本海自由経済圏」の実現を目指し、その軸に富山県を位置づける事が重要だと考える。

 富山新港の新湊大橋は、127メートルの塔柱が2本聳える日本海最大級の吊り橋である。これを、越中が軸に環日本海へと繋がる門(ゲート)として位置づける必要がある。その為には、新湊大橋の俗称を「日本海ゲートブリッジ」と名付けたいものだ。環日本海の各都市からゲートブリッジを通りオアシス港湾都市を目指す。そういうイメージが付けば、新しい日本版自由ハンザ都市「越中都」のシンボルとなるだろう。

<環日本海シーアンドレールの実現>

 日本海側は、かつて北前船時代だった明治維新以前は、まさしく表日本だった。しかし、陸運の発達や経済力のあるアメリカ貿易が主軸となり、表日本は日本海側から太平洋側へ変わってしまう。活気を失った日本海側。だが、いま時代は変わろうとしている。韓国・ロシア・中国の経済発展、そしてアジア諸国の台頭。アジア経済圏は、大きく発展し始めている。特に、ロシアの経済的安定は、ロシアからECとして経済力が高まったヨーロッパへと繋がるシベリア鉄道の役割が重要視されてきた。ヨーロッパでは環境対策が強まり、車から鉄道へ「モーダルシフト」が加速している。その中でも、貨物鉄道は強化されている。このコンテナによる貨物鉄道は、日本でも今後重要視されるだろう。
 いま注目されいるのが、日本海側の港へ鉄道を直結させて、貨物船を経由してアジア諸国やロシアからヨーロッパへと結ぶという「シーアンドレール構想」だ。国土交通省では、鉄道が隣接していた秋田港で、既に実験的な取り組みが行なわれている。この動きは、新潟市や敦賀市などでも検討され、富山県でも可能性が論じられている。
 富山県でのシーアンドレール構想は2案ある。第1案は、貨物専用線のJR新湊線と路面電車の万葉線を接続させ、富山新港のコンテナターミナルと結ぶ案。第2案は、北陸線から富山新港のコンテナターミナルまで新線を建設する案。この第2案は、かつて昭和40年頃に当時の国鉄が構想していた新線案とほぼ同じだ。現実的なのは、第1案だろう。万葉線の路盤強化などの投資は必要であるが、安価に実現できる。東京・名古屋・大阪へアクセスできる富山県のメリットは大きい。富山から環日本海へ、重要なアイテムとなる。

<環日本海の人的交流シンボルに「日本海大学」を据える>

 環日本海自由経済圏を確立させる為には、人的交流が欠かせない。その鍵を握るのが、大学だ。環日本海の人々が、富山を目指す起爆剤として、外へ開かれた大学が必要である。それを担えるのは、現在「富山大学」しかない。これを地元一番の大学(内向け)から、アジア一番の大学(外向け)へと転換する事が大切だ。その為には、内向きの名称から外へ開かれた名称に変更する事が課題だろう。環日本海時代の象徴的な大学として「日本海大学」とする事が大事だ。