<万葉線の新高岡駅へ延伸実現を!>
城端線・氷見線LRT化検討会で議論されたが、事業費(最高435億円)の大きさがネックと言われ、LRT化は難しいという結論となり、新型車両導入がベストという判断が2023年に下された。
これは、極めて残念な判断だ。
城端線・氷見線のLRT化は、持続可能な社会インフラとして『100年先にも鉄路を残すため』の取り組みだったと考える。新型車両導入では、これまでとほとんど変わらず『100年先にも鉄路を残せない』と危惧される。また、新型車両導入は本来ならJR西日本側が取り組むべきことで、公的資金を投入するものではないだろう。
そもそも、城端線と氷見線を一緒にLRT化することに固執したことが残念でならない。
城端線29.9キロと氷見線16.5キロ、あわせると46.4キロもあり、一度にLRT化しようとすれば、それは巨額な投資となるのは必然だろう。まずは現実的な取り組みとして、氷見線のみをLRT化させることが、もっとも意義があることで、氷見線だけであれば1/3以下の投資で済み、取り組みやすい選択肢だったからだ。新型車両導入がベストという安易な結論は、両線の廃線を先延ばしにしただけの結果に終わる可能性が極めて高い。そして大きな問題は、最終的な構想では、新型車両導入とポイントなどの交換などで、総額342億円を投資することになったこと。LRT化する場合の事業費435億円とは、その差がわずか83億円程度に過ぎない点だろう。
宇都宮市では、LRTをゼロから構築してJR宇都宮駅から郊外の工業団地までの14.6キロを2023年に開業させた。総事業費は約684億円にものぼる。当初は反対の声もあったのだが、開業後の利用者は予想を超えたため、大成功の取り組みと言われている。更に宇都宮ライトレールでは、JR宇都宮駅を跨いで都心部へ5キロ程度を延伸される見込みだ。その事業費は、さらに約400億円掛かると見込まれている。今回、事業費が掛かるとして既存鉄道のリニューアルに止まった城端線と氷見線。果たして、宇都宮ライトレールのような大成功例と言われる結果になるのだろうか。
高岡駅と新高岡駅の最大の問題点は、万葉線と氷見線が高岡駅止まりで、新幹線駅の新高岡駅まで直接乗り入れ出来ていないことだ。この問題解決にどう取り組むかを議論する必要があった。しかし、氷見線と万葉線の新高岡駅乗り入れを、別々に議論されている。同じ課題なのに、なぜ別々の話しとなるのか理解できない。城端線・氷見線LRT化検討会の結論では、氷見線を城端線に乗り入れるために、あいの風とやま鉄道(旧北陸線)を平面交差させて実現させることになった。この構想自体は、20年以上も前からあった話しだが、30〜40億円の事業費をかけて平面交差を実現させても、1日あたり氷見線から城端線に乗り入れられるのは、わずか4往復〜最大8往復程度とされている。今後、あいの風とやま鉄道の運行本数が増えれば、平面交差できる本数はさらに減る可能性もある。それだけに、この平面交差方式は意味がないとされてきたが、今回の城端線・氷見線LRT化検討会では、一番良い構想として復活したのが不思議でならない。
現状、城端線と氷見線はリニューアルで決まった以上、次に取り組むべきなのは、万葉線の新高岡駅乗り入れを早く実現させることだろう。万葉線をいかに高岡駅を乗り越えて延伸させるか。
<万葉線の新高岡駅乗り入れルート A案『県道58号線ルート』>
(A案)県道58号線にLRT線を整備することで、万葉線を新高岡駅まで延伸させる。
県道58号線を改良して、万葉線のLRT線を整備することで新高岡駅まで延伸させる。あいの風とやま鉄道との立体交差化は、県道58号線の陸橋を、1車線減らしてLRT線を敷設して対応する。あるいは、陸橋を架け替えて、車道の4車線とLRT2車線確保した大幅な車線拡幅も選択肢として考えたい。
<万葉線の新高岡駅乗り入れルート B案『駅南大通りルート』>
(B案 その1)万葉線を高岡駅の2階自由通路に並行して立体交差で駅南に延伸させる。
万葉線を新たに在来線の改札口や自由通路のある2階部分へ高架で乗り入れる。富山銀行本店正面から万葉線を立体化させて、ホテルα1と自由通路にある隙間から橋上駅の改札前まで単線にて乗り入れる。橋上駅では、すれ違いができるようにする。そして、駅南大通りで地上へ降りて、LRT新高岡駅までを駅南大通りのLRT化で結ぶルート案。ドイツのフライブルグ中央駅は、2階に跨線橋でLRTが乗り入れ、1階の国鉄ホームへエスカレーター1本で乗換できるような機能性の高い駅であり、高岡駅でも同じ効果を狙いたい。富山駅が、1階に LRTターミナル、2階に在来線・新幹線ホームなのに対して、高岡駅はその逆、2階に LRTターミナル、1階が在来線ホームとすることで、存在感を持たせることができるだろう。
また、既存のターミナル1階に乗り入れているLRT線は廃止して、代わりにバスターミナルを移設させる。雨や雪に濡れることなく、バスを待つことができるメリットは高い。既存のバスターミナルエリアは、駅前公園として整備させて、イベントなどができるようにする。
B案その1がもっとも理想的なルート案で、あいの風とやま鉄道との乗り換えも便利となる。
(B案 その2)万葉線を駅西側で、あいの風とやま鉄道と立体交差させ、駅南に延伸させる。
現在の氷見線ホーム西側に万葉線が乗り入れて、そこから城端線側に立体交差で渡り線を新設させて接続する方法だ。これは、城端線・氷見線のLRT化を検討された際に、富山県が示した構想を万葉線に置き換えす案になる。単線での立体交差とする。駅南へ立体交差させた万葉線は、高岡駅南口を経て駅南大通りをLRT新線を設けることで新高岡駅まで結ぶルート案。
(B案 その3)万葉線を駅東側で、あいの風とやま鉄道と立体交差させ、駅南に延伸させる。
富山銀行本店の裏通りから万葉線を立体化させ、アパホテルとsorae高岡の間を抜けて、あいの風とやま鉄道を高架で跨いで駅南に抜けます。この区間は単線で整備する。そこから地上に降りて、駅南大通りをLRT新線を設けることで新高岡駅まで結ぶルート案。
いずれの案も、駅南大通りの四車線を二車線に減らして、二車線分をLRT線に転用させます。歩道側をLRT線とすることで、利用者の利便性を高めたい。沿線には瑞龍寺の国宝もあり、観光客の利用を意識した路線とする必要もあるだろう。
県道58号線を改良して、万葉線のLRT線を整備することで新高岡駅まで延伸させる。あいの風とやま鉄道との立体交差化は、老朽化した県道58号線の陸橋を架け替えて、LRT線が乗り入れできるようにすることで実現させる。
万葉線の新高岡駅乗り入れが実現できれば、経済効果は計り知れない。これらの延伸整備にも「開発型鉄路」方式を導入して建設費を賄いたい。新幹線駅周辺に、マンション用地を造成し、その分譲価格に、鉄道整備費を上乗せさせる。また、鉄路整備を目的とした「ホテル税」の導入も考えられる。
これらの収入源と、国からの鉄道整備補助金で早期の実現を目指したい。