<富山県による「みらい戦略政策研究所」の創設>
これまでの地方自治は、国が定めた戦略・政策に沿った取り組みをしてきた。産業や農業振興をはじめ、都市・教育・福祉問題にいたるまで、地方自治オリジナルの政策は殆ど無く、国の方針に従わなければならない状況だったのである。富山県でも、新産業都市やテクノポリス構想に代表されるように、国が考えた都市戦略構想に乗っかった産業振興を行うしかなかったのが実情だ。その原因は、補助金に代表されるように、財源が国にあり、紐付きといわれる地方振興策しか選択肢に無かった為でもある。しかし、国政の甘さから危機的な財源難状態に陥ったいま、"地方自治の自立"と言う言葉にすり返られた"地方切り捨て"時代へと突入する事となった。これまで、戦略的なオリジナル政策が行えなかった都道府県や地方都市に対して、これからは、地方の問題は地方で考えるようにという、180度反転政策を国は打ち出したのである。
富山県や富山高岡広域都市圏は、地方自治レベルで、戦略的な政策立案能力の飛躍的な向上が求められている。しかし、これまでの政策展開が180度変わる状況に、現在の県や市の行政能力では対応しきれないのが現実だ。特に、戦略的という部分は、高度な知識集積と思い切った決断力が求められる訳で、県・市レベルでは二の足を踏まざるを得ない。しかし、この都市政策立案という点で、独自路線を打ち出せなければ、地域間競争・都市間競争で"勝ち組・負け組"の差がさらに開くこととなるだろう。