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<検討したい項目>
・富山県が戦略的政策シンクタンクを創設する
・富山高岡広域都市圏の市町村が共同で都市政策シンクタンクを創設する


<富山県による「みらい戦略政策研究所」の創設>

 これまでの地方自治は、国が定めた戦略・政策に沿った取り組みをしてきた。産業や農業振興をはじめ、都市・教育・福祉問題にいたるまで、地方自治オリジナルの政策は殆ど無く、国の方針に従わなければならない状況だったのである。富山県でも、新産業都市やテクノポリス構想に代表されるように、国が考えた都市戦略構想に乗っかった産業振興を行うしかなかったのが実情だ。その原因は、補助金に代表されるように、財源が国にあり、紐付きといわれる地方振興策しか選択肢に無かった為でもある。しかし、国政の甘さから危機的な財源難状態に陥ったいま、"地方自治の自立"と言う言葉にすり返られた"地方切り捨て"時代へと突入する事となった。これまで、戦略的なオリジナル政策が行えなかった都道府県や地方都市に対して、これからは、地方の問題は地方で考えるようにという、180度反転政策を国は打ち出したのである。
 富山県や富山高岡広域都市圏は、地方自治レベルで、戦略的な政策立案能力の飛躍的な向上が求められている。しかし、これまでの政策展開が180度変わる状況に、現在の県や市の行政能力では対応しきれないのが現実だ。特に、戦略的という部分は、高度な知識集積と思い切った決断力が求められる訳で、県・市レベルでは二の足を踏まざるを得ない。しかし、この都市政策立案という点で、独自路線を打ち出せなければ、地域間競争・都市間競争で"勝ち組・負け組"の差がさらに開くこととなるだろう。
 

  ↑ 環境都市として有名なブラジルの『クリチバ』

 
 そこで考えたいのが、富山県が独自に戦略的な政策立案能力を高める為のシンクタンク「みらい戦略政策研究所」創設だ。このシンクタンクでは、地方財政・行政サービス・都市戦略・ブランド戦略・少子化・高齢化・教育・環境・観光資源化や短中長期的な展望などの政策立案をはじめ、国際化・広域交流・ベンチャー企業育成など多岐に渡る問題を、県内外の優れた専門的な知識人と県の若手職員(出向)を集めて分析提言をしてもらい、県の戦略性を高めたい。特に、対国政を意識したものとして、富山オリジナルの政策を目指す。具体的に言えば、ベンチャー企業育成。アメリカのシステムを研究して、ベンチャーキャピタル機能の充実やガレージ企業・大学企業の助成方法などを確立化させたい。そして、10年後・20年後を目標に、世界企業を10社以上育てるという積極的な目標を立てるような戦略的な政策立案を行うのだ。県職員のレベルアップにも繋げ、いずれ県庁に戻って、能力を発揮してもらうというシステムである。
 また、市民研究員や学生研究員制度も設けて、時代に合わせた意見集約や県民の能力向上を目指す必要もあるだろう。

↑ クリチバのシンボル「花通り」 ↑ ハンザ都市『ハンブルグ』の市庁舎と運河

 
<富山高岡広域都市圏による「越中都市計画研究所(戦略局)」の創設>

 県のシンクタンクとは別途に、将来の政令指定都市化を想定して、富山高岡広域都市圏の市町村共同による"創造的な都市戦略に関するシンクタンク「越中都市計画研究所(戦略局)」"設立も期待したい。ここでは、より具体的な創造的都市戦略立案を策定し、隣接県との都市間競争で生き残る為の方策を検討・実行するのだ。具体的には、都市に関しての情報収集・分析、富山高岡広域都市圏における都市の戦略計画案の策定・計画の実践、そして計画の評価まで行なう。日本にある従来型の都市シンクタンクでは、都市計画を策定しても、とかく絵に描いた餅で終わっていた。シンクタンクの中に実践部隊を持つことで、都市計画を実際に遂行するという、従来型とは一線を画すものを目指したい。また、中枢管理都市化・政令市化による経済及び人口シュミレーション・都市ブランド戦略・都市交通戦略や隣接ライバル都市の情報収集と分析なども行うのだ。
 この都市計画シンクタンクは、民主党の鳩山内閣で打ち出された「国家戦略局」に似た面もある。「国家戦略局」は、イギリスの「ポリシー・ユニット(戦略室)」を参考にしているのだが、「越中都市計画研究所(戦略局)」の方は、環境都市で有名な南米ブラジルのクリチバ市の「クリチバ都市計画研究所(イプキ)」を参考にしたい。とかく日本のシンクタンクでは学者・研究員だけで構成されてしまうが、「越中都市計画研究所(戦略局)」のスタッフは、学者・一般採用による研究員の他に市職員なども加えて、100〜200人規模の本格的なものを目指したいものだ。街づくりは、100年単位。首長が変わる度に、街づくりが変わっていては、長期的に魅力的な街は生まれない。首長が変わっても、街づくりの連続性を維持させてゆくのが、「越中都市計画研究所(戦略局)」の役割であり、市民憲章のもと首長も議員も参画させてゆく。
 地方都市にあるシンクタンクの多くは、その地域を代表する銀行系・新聞系・コンサルタント系・大学系のシンクタンクが多い。富山県の場合、北陸銀行系のシンクタンク"北陸経済研究所 が唯一あるのみ。お隣りの石川県では、北國経済研究所をはじめ4つのシンクタンクがあり、富山県とは大きく差が付いている。また、鳥取県・長崎県や福岡市・神戸市・新潟市などでは、地方自治体が設立したシンクタンクが既にあり、オリジナル性のある政策立案が進んでいる。国政に対抗して行く為の"県シンクタンク"と"富山高岡広域都市圏連合のシンクタンク"といった、ふたつの公的な"戦略的政策シンクタンク"創設が、将来の富山県(越中都)の発展に必ず役立つ事となるだろう。
 

↑ 世界ではじめて導入されたクリチバのBRT

 
<手本となる世界の都市や州・地域との姉妹都市締結>

 富山県が強くなるには、手本となる都市から多くを学ぶ必要がある。それは、国内の都市ではなく、外国の都市から学ぶことが重要となる。基本的には、富山オリジナルの政策が大事であるが、個性を持たせるには、まだ国内に取り入れられてない外国の都市が行なっている施策を参考にしたい。例えば、富山市のLRT導入は、国内初といわれているが、欧州では既にスタンダードな施策に過ぎなかった。LRTの施策を国内に持ち込むには、地元の理解と国の規制緩和が必要で、このハードルが高いため、国内のどの自治体も積極的には取り組まなかっただけ。富山市では、フランスのストラスブール市を参考に、日本に適応した富山流で実現させた。この成功事例を増やしていく必要がある。また、より強化する為にも、世界の先端をいく都市に学ばなくてはならない。そのためには、県や市町村が、外国の州・地域や都市と姉妹都市・友好都市を締結して、行政・民間・学生・市民の人材交流を頻繁に行えば、スムーズに外国の施策を、日本に適応した『富山流』で持ち込むことができる。そうすれば、日本の最先端をいく県・都市となるだろう。
 富山県や富山市・高岡市は、北米・南米・中国・極東ロシアの州(省・地域)・都市と姉妹都市・友好都市の締結はしているが、欧州の州(県・地域)や都市とは、姉妹都市・友好都市を結んでいない。多くの欧州都市はすでに、日本の自治体と姉妹都市・友好都市を結んでおり、これから富山県が欧州の州(県・地域)や都市と姉妹都市・友好都市を締結するにはハードルはあるが、実は魅力的な州・地域・都市が残っている。早期の取り組みが重要となるだろう。そして、富山県として最低2つの欧州自治体と姉妹自治体・友好自治体を締結したいものだ。
 
<富山県が目指したい欧州の姉妹自治体・友好自治体候補>
 
・スイスの『バーゼル地域』
 『薬都』として名高いバーゼル地域と富山県は、2009年に医薬品分野の交流協定を結んでおり、これを発展させる形で、より結びつきを強める『姉妹自治体』の締結を目指したい。
 バーゼル地域およびバーゼル地域の2州は、日本の自治体と、まだ姉妹自治体を締結したことがない。
 
・ドイツの自由ハンザ都市『ブレーメン』(ブレーメン州)
 人口66万のブレーメン州は、都市であり州でもある自治体(都市州)。中世にバルト海の海上貿易で港湾都市(ハンザ都市)として栄えた歴史文化都市。富山県も、江戸時代から明治時代にかけて、日本海の北前船交易として港湾都市が発達した歴史文化都市であり共通点が多い。ブレーメンからは、現代でも残っている独立性の高い自治体制を学ぶために『姉妹自治体』の締結を目指したい。
 ブレーメン州は、日本の自治体と、まだ姉妹自治体を締結したことがない。
 
<富山市が目指したい欧州の姉妹都市・友好都市候補>
 
・フランスの『ストラスブール市』
 環境都市として世界的に名高い都市であり、富山市がLRTをはじめ公共交通の参考にした都市でもある。市の人口は28万人。富山市が環境都市として世界でも著名にしていくために、ストラスブール市と姉妹都市を締結できれば、大きなアドバンテージとなるだろう。
 ストラスブール市は、日本の都市と、まだ姉妹都市を締結したことがない
 
・ドイツの『ボン市』
 かつて、西ドイツの首都であり、統一ドイツでも首都機能を分担している。また18の国連機関も有する国際都市で、市の人口は33万人。日本でも副首都などを想定した場合、ボン市を参考にできることが多いと考えられる。
 ボン市は、日本の都市と、まだ姉妹都市を締結したことがない。
 
・イギリスの『リヴァプール市(リバプール市)』
 ビートルズの出身地としても名高いリヴァプール市は、英国第4の都市で人口49万人あまり。1200年代に王から自由都市の特権を与えられ貿易港として発展し、『海商都市』とも呼ばれている。
 リヴァプール市は、日本の都市と、まだ姉妹都市を締結したことがない。
 
<高岡市が目指したい欧州の姉妹都市・友好都市候補>
 
・フランスの『ルーアン市』
 ノルマンディー地域圏の首府であり、セーヌ=マリティーム県の県庁所在地。市の人口は11万人。多くの教育機関があり、学生の街として名高い。LRT(メトロ)の2路線とBRT(TEOR)3系統が、市街地に張り巡らされている。特にTEORは、一般道路から完全分離させたバス専用レーンで整備されており、高い定時制と輸送力がある。また、LRTは、市街地で地下鉄化されている。
 ルーアン市は、日本の都市と、まだ姉妹都市を締結したことがない。
 
・イギリスの『オックスフォード市』
 歴史あるオックスフォード大学がある、人口は15万人の学園都市。「夢見る尖塔の街」とも言われ、自動車のミニもこの街で製造されている。オックスフォード大学からは、28人のイギリス首相と55人のノーベル賞受賞者を輩出している。学生数は約2万4千人、そのうち4割ほどが留学生」になる。
 オックスフォード市は、日本の都市と、まだ姉妹都市を締結したことがない。
  
 高岡市にとって、欧州の都市と姉妹都市締結を目指す際に、明治時代にパリを拠点として日本文化『ジャポニズム』を欧州へ拡めた高岡市出身の『林忠正』は、大きな武器になるはずだ。歴史文化都市として、ふたつの国宝建築物や古い町並みと、現代にも残る芸術産業は、欧州の芸術文化にも通じるものがあり、『ジャポニズム』をキーワードとすれば、魅力的な都市と姉妹都市になれる可能性がある。
 
<富山県が目指したいインド・東南アジア・オセアニアとの姉妹自治体・友好自治体候補>
 
 富山県としては、まず欧州の都市・自治体で姉妹都市・友好都市の締結を目指すが、そのあとは、インド・東南アジア・オセアニアとの交流も考えていかないといけないだろう。富山市・高岡市でも、インド・東南アジア・オセアニアとの交流を進めたいが、現状ではハードルが高いので、当面は富山県で進めていきたい。
 
・インドの『ベンガルール市』
 カルターカナ州の州都で、人口は842万人。インドのガーデンシティ(庭園都市)とも呼ばれ、緑の多い高原気候が特徴。また、『インドのシリコンバレー』とも言われ、インド屈指のIT産業が盛んな都市。海外からの投資も多く、ホンダの工場なども進出している。ベンガルール市は都市規模が大きくため、富山県が姉妹自治体となるのは問題ないだろう。先端産業のある都市同士の友好関係は意義があると考える。
 ベンガルール市は、日本の都市・自治体と、まだ姉妹都市を締結したことがない。
 
・オーストラリアの『クイーンズランド州』
 オーストラリアの北東部にある州で、オーストラリでは2番目に広い州。人口は518万人。日本からは観光や不動産の投資が多く、州内には自然豊かな観光都市が多い。グレートバリアリーフのあるケアンズもそのひとつである。大学も多く、留学生の受け入れが盛んだ。州都のブリスベンは、アジア太平洋地域でGDPがもっとも大きい都市。
 クイーンズランド州は、日本の都市・自治体と、まだ姉妹都市を締結したことがない。
 
 南米ブラジルのクリチバ州や州都のクリチバ市も、姉妹自治体・姉妹都市の候補としては魅力的だ。ただ、富山県・富山市・高岡市は、既にブラジルのサンパウロ州や州内の都市と友好提携を結んでおり、まずは欧州との交流強化を進めることを優先としたい。
 

<参考サイト>
○新潟市都市政策研究所(新潟市)
○鳥取環境大学(鳥取県)
○(財)福岡アジア都市研究所(福岡市)
○(財)ながさき地域政策研究所(長崎県)
○(財)神戸都市問題研究所(神戸市)
○(財)堺都市政策研究所(堺市)
○横須賀市都市政策研究所(横須賀市)
○とよなか都市創造研究所(豊中市)
○さがみはら都市みらい研究所(相模原市)
○北九州市立大学 都市政策研究所(北九州市)
○クリチバ都市計画研究所
 → ○クリチバ市
○自由ハンザ都市ハンブルグ市議会
○世界の都市国家ドブロブニク(青山貞一)

○環境・持続可能な都市づくり「クリチバ市」(JETRO)
○クリチバに見るユニバーサルデザインの今(JDN)